愛国心

昨日の記事ですが。
教育基本法案に「愛国心」を盛り込むとかいう問題です。
讀賣新聞によると、
「伝統と文化を尊重し、それらを育(はぐく)んできた国及び郷土を愛する」
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20060412it06.htm?from=top
だそうです。
これは一見耳あたりがよいのですが、問題がちらほら。

  • 文化とはなにか?

文化は実は定義がはっきりしていない言葉です。
翻訳されて導入された当初は、「文化鍋」や「文化住宅」といった、進歩的で新しいものという意味で使われていたものが、いつのまにやら「伝統」や「芸術」などと結び付けられているものです。

  • 伝統とは何を指すか?

尊重すべき伝統とそうでない伝統との区別がつかれる恐れがあります。
そもそも、今ある民俗事象なんてのは遡っても江戸時代中期以降のものがほとんどです。

  • 民俗学が再び国家の政策に巻き込まれていく気がします。

その萌芽はすでに、教育課程の「総合学習」にあるのでしょうね。
「伝統っぽいもの」を「体験」する、といった動きはすでにあるようです。
だいたい、民俗事象なんてのは、今そこに生活している人が、続けずにはいられないから継承されるものだと考えています。
時代の趨勢に従って意味が蒸発したものは、新たな意味が付け加えられるか、もしくは消滅するか。
「残っている」ものであって「残すべき」ものではありません。
それに、継承してこない、新たに生じた民俗を軽視することになりかねませんし。


なんか恣意的で、こええ風潮です。